情報発信コラム:スペースクリエーション アイ

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第20回 スペースクリエーション アイ
文化の街「京都」の新たなる挑戦

2013年3月
タテヤマアドバンス 大阪支店 副支店長 藤山 峰

2011年に大阪支店へ転勤となり、世界遺産の街・京都が隣になりました。
そこで、今回は京都の街と商業の関係性について考えてみました。

京都といえば何をイメージしますか?

伝統工芸技法のひとつで金属工芸の一種に七宝焼があり、明治期から昭和初期にかけて活躍した七宝作家が、「並河靖之」でした。
明治期の工芸品は外貨を稼ぐ為、多くは輸出品として製作されており、残念ながら日本に残っている並河の作品の数は多くありません。
そんな貴重な作品が、並河七宝記念館をはじめ京都のいくつかの博物館に保管されています。

文明開化以降、殖産興業をスローガンとして明治政府は日本の伝統工芸品の欧米輸出を奨励しました。また、数々の並河の作品が万国博覧会に出品されたこともあり、当時は海外で七宝焼といえばNamikawaとして、その名が認められていたほどに評価されていたそうです。

日本の伝統工芸は一つ一つに職人の魂が込められており、一作品製作するのに1年以上かかるのも珍しくありません。
それが工業化の進展を進める当時の日本にはそぐわなかったのでしょう。時代とともに、多くの伝統工芸品は廃れていき、並河の七宝焼も姿を消しました。
残念ながら、並河には後継者がおらず、かつて日本の七宝を支えてきた職人の技術は1代で尽きてしまったのです。

京都という街は、日本の数々の伝統工芸品を今に伝え生きている文化の街です。
国内の世界遺産登録数も圧倒的に多く、伝統のビジネスの聖地といえるのではないでしょうか。

一方で現代ビジネスにとって、京都は、なかなか取組みにくい街かもしれません。
かつて伝統工芸と工業化が対立したように、現在でも伝統保護と商業利益追求との両立は難しい問題です。
その一例が「看板(屋外広告物)」に関する事柄です。

京都には歴史的景観の保護を目的とした古都保存法や景観条例があり、これは京都でビジネスをする際に遵守しなければならないルールです。
このルールによって、公園・河川・史跡名勝地の屋外広告物の原則禁止、市内全域における屋上広告物の禁止、点滅式照明・可動式照明の使用禁止、地区による表示物の高さ制限、マンセル値の彩度が一定を超える場合の使用面積制限など、色・大きさなどの点で厳しく制限がつけられています。

京都以外でも、歴史のある街、奈良、鎌倉などは条例で規制されています。
他の地域においても、看板の規制はありますが、今後、さらに制限の度合いは増えていくと思います。
これからは、
1.町並みにあったサインを製作すること
2.看板本来の目的の一つである商業利益にも十分貢献すること
これらどちらか一方を排除するのではなく、両方を叶えることが求められているのだと思います。
逆に言えば、これらの課題をクリアしなければ看板の生き残りは難しいでしょう。

京都といえば何をイメージしますか?
京都は、現代ビジネスの挑戦の地と言えるのかもしれません。

常に時代に挑戦し続ける事により、常に新たな時代の文化が誕生するのだと思います。


オフィス街

歴史的な町並み

繁華街

オフィス街

繁華街

京都は「不易流行」が支えている街。いつまでも変わらない「不易」と、時代に応じて変化する「流行」が交差する。伝統と革新が共存するからこそ、京都らしく時代をリードできる強さがある。古い町屋がカフェや宿に業態が変わっても、なぜか京都ならではの味を出せるのは、特有の街並みがつくりだす景観からの恩恵だろう。歴史都市京都の50年、100年先を見据えたサインデザインづくりには、不易流行のクリエーション精神は欠かせない。
(商い創造研究所・松本大地)

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