情報発信コラム:スペースクリエーション アイ

コラムトップへ戻る

第18回 スペースクリエーション アイ
ものつくりへの情熱と進化する街

2013年1月
タテヤマアドバンス 東京商業施設支店長 瀬崎 幸雄

 SMBCコンサルティングが発表した2012年ヒット商品番付では、東の横綱にはノーベル賞を受賞した山中京大教授が研究する「iPS細胞」が選ばれたが、西の横綱には5月に開業した「東京スカイツリー」、東の大関には創建時の姿に復原された「東京駅」と東京の新たな観光名所が上位に選ばれた。
「東京スカイツリー」は世界一高い電波塔(634m)を核に、商業施設の東京ソラマチ、 すみだ水族館、コニカミノルタプラネタリウム、オフィスなどを要する大型複合施設だ。先日お取引先の研修会で施工を担当された(株)大林組の方のお話を聞く事ができた。テーマは「時空を超えたランドスケープ」。施工技術面では、“反りとむくリによる立ち姿と日本の伝統的な美しさ”を重点に垂直精度管理、風との戦い、熱との戦いの技術的難題を克服し、安全面では高所作業技法と作業効率の両立を徹底検証した。また、地震対策には幾度もの地震を乗り越えてきた五重の塔を参考に構造が考えられたこともふれていた。開館2ヶ月で1千万人を超える来場者数は、現在も多くの人で賑わう背景には、景色はもちろんだが第一展望台まで50秒で行く高速エレベーター、第二展望台では50mのスロープを自ら歩く空中回廊演出、また外を照らすLED照明は隅田川を意識した淡い水色「粋」と江戸の情緒を意識した江戸ムラサキ「雅」など、ものつくりと演出が合致しているからだろう。新たなランドマークの建造物には、日本の技術力の高さ、ものつくりへの情熱が支えになっていると感じた講話だった。

 一方、「東京駅」は当社の建材事業を担う 三協アルミ社の東京駅専用ビル用サッシが採用され、社内外に話題を呼んでいる。大正3年に日本近代建築の祖とされ、日本銀行本店などを手がけた設計家 辰野金吾氏によって創建された西洋風デザインが復原され、重要文化財としての価値を損なわず修復されている。鉄骨レンガ造りの1F、2Fの構造をそのまま生かしつつ、3F部分は鉄筋コンクリートで構成し外壁に化粧用のレンガをあしらい、そこは東京ステーションホテルの客室となった。復原の目玉は創建当時を再現したドーム型の屋根であり、駅舎の南北両端にあるドームの天井には鉄道の車輪や動物の装飾が施されている。
屋根の高さは35mでこれまでの八角屋根より約2m高いそうで、現在もたくさんの人が写真を撮っている。隣接する大手町、丸の内エリアは、オフィスだけではなく商業施設やブランドショップ、カフェやギャラリーなど、複合的機能を備えた街となってきた。

 近年、都心の再開発や都心近郊での新たな街つくりが話題となっている。「暮らす街」「働く街」「楽しむ街」その街によりテーマは様々と思うが賑わう街には共通点があると思う。
1つ目は「交通アクセスが良い」、2つ目は「様々な店舗が揃っている」、3つ目は「街のテーマに合わせて整備されている」、4つ目は「緑が豊かな場所がある」こと。今回取り上げた話題のエリアも上記視点で見ると共通する要素がある。街は生き物であり、進化を続けるからこそ、様々な価値を生む。しばらく訪れていない街にも、新たな発見があるかもしれない。


東京駅丸の内口

創建当時を再現したドーム型の屋根

東京駅丸の内駅舎ライトアップ

「復元」とは、ほとんど無くなってしまったものを、新たに再生する意味に使われ、「復原」は残ったものに手を加えて本来の姿に戻すときに使われる。JR東日本では東京駅復原と謳っている。一方、スカイツリーは今年最も話題を集めた施設であったが、どちらも「ものつくり」が重要なキーワードであることを今回のコラムで知ることができた。ふるきを訪ね、新しきを知る温故知新ではなく、新たに創っていくクリエーションを発揮する温故創新が大切であろう。
(商い創造研究所・松本大地)

ページトップへ