情報発信コラム:スペースクリエーション アイ

コラムトップへ戻る

第6回 スペースクリエーション アイ
東日本大震災から9ヶ月 小売業の復旧復興

2012年1月
タテヤマアドバンス 仙台支店長 山戸 幸雄

 第6回 スペースクリエーション アイが掲載されるのは年明けの2012年、昨年の忘れることの出来ない3.11東日本大地震から約10ヶ月が経過している頃ですが、今回は大震災より9ヶ月が経過した被災地での小売業の復旧復興がどのような状況であるかを綴ろうと思います。

 震災から9ヶ月が経過し、仙台市中心部では震災前と変わらない生活が営まれるようになってきたが、仮設住宅で暮らす住民は付近に商業施設が無い場所が多く徒歩で買い物に行くしかない高齢者にとってはつらい状況が続いている。震災後には復興需要を見込み、これまで東北へ進出していなかった業態店舗が新規出店するなどの変化が見られ、個人消費は大きく伸びてきている。しかし津波による被害を受けまちが壊滅した沿岸部地区では瓦礫こそ撤去されたが未だ店舗も住宅も何も無いままである。

 震災1ヵ月後に店舗状況確認へ向かった気仙沼市や陸前高田市を訪れて見た。 気仙沼では震災後屋上で仮設営業をしていたイオンも今は全館復旧オープンし買い物客で賑わっているが、隣接したホームセンターはやっと復旧工事がスタートしたばかりであり、「早くオープンして欲しい」と話をしながら歩く買い物客も多い。(写真①・②) また気仙沼中心部の商店街や住宅が立ち並んでいた場所には今でも大型船が残されたままであった。(写真③)
一方まちが壊滅した陸前高田市では10月中旬から11月初旬にかけて復興計画(素案)が地区住民への説明会が開催され復興基盤整備が始まったばかりである。(写真④・⑤・⑥) 地域住民の為に小売各社は仮設店舗を開設し生活必需品を販売するようになったが、本格的な街づくりは一歩踏み出したばかりである。(写真⑦・⑧)

 被災地は生活必需品を中心としたライフライン型商業は復旧しつつあるが、生活に潤いを与えるライフスタイル型商業整備はこれからである。両軸のスペースクリエーションができてこそ、完全な復興と言えるのではないだろうか。 今後何年かかって新たな街づくりが完成するのか、我々の力で少しでも協力し新たな商業施設づくりを担っていこうと思います。


写真①2011.04.06

写真②2011.12.07

写真③2011.12.07

写真④2011.04.06

写真⑤2011.12.07

写真⑥2011.12.07

写真⑦2011.12.07

写真⑧2011.12.07

被災地にて急ごしらえのショッピングセンターの再開や商店街が復旧したとき、とても楽しそうに買い物をする人々の姿が印象的だった。あらためて社会インフラとして商業施設の果たす役割が高いことを思い知らされた。復旧と復興は大きく異なる。復旧は元の姿に戻すことであるが、復興は先を見据えより良い姿にしていくことで、まさにルネサンスでありその言葉には再び誕生する伸びやかさがある。まず復興に向かうときに必要なのは、困難に立ち向かう勇気と英知の結集だが、次のステップは人間に快適な商業空間を創造するスペースクリエーションの視点であり、本格的な復興の場づくりは欠かすことができない大切な要素である。
(商い創造研究所・松本大地)

ページトップへ