情報発信コラム:スペースクリエーション アイ

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第4回 スペースクリエーション アイ
進化を続ける米国ライフスタイル型スーパーマーケット

2011年11月
タテヤマアドバンス クリエイティブセンター 清本 麻子

 2011年6月20日から26日にかけて、「米国視察ツアー」に参加してきました。今回の視察団は27名。メーカーの方、小売業の方、私のように什器メーカーとしてお客様の売場作りをサポートする立場等、既に取り組んでいるケースや、これからどのように取り組むべきかを考えているケース、様々な立ち位置の方が参加されたため、実際の視察のみでなく、その後の夕食等でも活発な議論が交わされていました。今回は、その時にメンバーから特に話題に上った店舗について綴っていきます。

五感を魅了する売場づくり
 「健康な生活をすることはこんなに素晴らしい。」という、企業としてのメッセージを、店舗の全てに反映させている【ホールフーズ】では、一見、コンシエルジュかと思うような位置(入口脇)に置かれたスターバックスコーヒーの美味しそうな香りにリラックスさせられ、豊かな気持ちにさせられる。豊かな気持ちになった私はついつい決して安価ではないオリジナル・オーガニック商品に手が伸びる。コーヒーの香りによるリラックス効果は、私の財布の紐も緩める様子。グリルするチキンの香ばしい香りと音、湯気のあがった出来立ての惣菜。色鮮やかな商品が並ぶショーケース。随所に散りばめられた食欲をそそる魅力溢れる売場づくりは、まるで食のワンダーランドさながら。

魅力的な商品施策とフレンドリーサービス
 PB比率がなんと80%以上という【トレーダージョーズ】はオーガニック食品をEDLPで提供する。 SKU数の徹底的な絞込みにより200〜300坪の店内で2,000〜4,000アイテムを扱う。日本のコンビニが100坪に満たない売場で2,800アイテムということからも、商品施策の徹底ぶりが伝わってくる。PBの絞込みは買いやすさ、選びやすさに繋がっているという。日本のPBと徹底的に違うことは、ブランド力の強さ。店内POPもデザイナーや美大学生を雇って絵を描かせるなどの凝りよう。アロハシャツを着て、首から提げたビーズには「人を助ける」という意味が込められ、終始、笑顔のスタッフがフレンドリーな接客をしてくれます。

 米国視察で特に気になったのは、このようにターゲットを絞ったような店舗と【ウォルマートスーパーセンター】などのEDLP業態が共存していること。アメリカの小売業は多様化・個性化の道を歩み、互いに棲み分けられています。グローバル化されたから受けられる価値もあれば、ローカル(消費者に寄り添うという意味でのローカル)にしか提供できない価値という考え方に、日本の小売業の新しいカタチを垣間見ることが出来ました。

 今回の「米国視察ツアー」に出席し、実際に視察店舗の顧客として買物をすることにより、米国小売業の最新情報はもちろんのこと、業界におけるトレンドや売場づくりの考え方の違いを肌で感じることができました。今後も引き続き、より良い売場づくりに携わる者として、より有用かつ説得力のある提案をお客様に提供できるよう日々研鑚していきたいと思っています。


香りの良いスターバックスコーヒー
お店のコンセプトを店頭に掲げる
オーガニック商品コーナー

美味しい香りがイロイロな場所から
熱々の惣菜は選びきれない種類の多さ
さまざまなシリアルの量り売り
見た目が可愛いチョコデザートたち
目に美しいデザートバイキング
瑞々しいイメージが湧くフルーツ
海を感じさせるポリネシアンスタイル
地域特産のオレンジをデザインに取込む
通路は広々として、歩きやすい
センスの良いパッケージのPB商品
オーガニック商品を安価に提供
美大学生による手描きのPOP
細々としたオシャレな生活雑貨もPB一色

日常の豊かさってなんだろうと考えたとき、それは贅沢さを求めるのではなく、日々普通の健康的な暮らしをおくることができることだと思う。東日本大震災の後、私たちは日常の生活を支えるライフラインの大切さを実感した。特に毎日の食生活は日常の豊かさの象徴である。最近の生活者はスーパーマーケットの選択には、ただ安いものを優先するお店ではなく、自分たちのライフスタイルづくりの延長線上で決定する。アメリカには多くのスーパーマーケット業態があるが、今回紹介されたケーススタディーからは先端ライフスタイル提案の進化が見える。空間をつくりだすクリエーターには、常に現場から発信されるメッセージから時代を読むことが求められる。
(商い創造研究所・松本大地)

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