情報発信コラム:スペースクリエーション アイ

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第3回 スペースクリエーション アイ
ローカル特性を活かしたスペースクリエーション時代の到来

2011年10月
株式会社 商い創造研究所  松本大地

 商業施設づくりを考えるとき、その背景にある街の歴史や風土、文化を咀嚼してスタイルをイメージする。「スタイル」とは、本来は「独自の持ち味」という意味。その独自の持ち味を、どうエンドユーザーに伝えていけるかが大切であり、そこにつくり手と受け手との間に生まれる「共感」が重要な要素となってくる。昨秋開業した「コレド室町」は新しい日本橋スタイルを創り上げた秀逸な商業施設であり、その土地に根差した、その場所の特徴を受け継ぐバナキュラー(Vernacular)建築手法の持ち味を生かしている。商業スペースの狭さを逆に魅力にしながら、素材感、照明、ストリートファニチャー、路地のつくり方まで完成された技を駆使した「空間力」で共感を生み出す。テナント構成をみても、単に人気のテナントを導入するのではなく、何を伝えたいかを明確に落とし込んだMD編集力に注力したことで、この店はどんな共感を生むのか、どんなライフスタイルを提供したいのかが店頭に現れている。これこそが開発力と運営力が備わった商業デベロッパーであるかを見極める座標軸となる。

 さて、地方に目をやると、従来の再開発手法や安易にナショナルチェーンテナントを集積した商業施設の劣勢が目立ってきた。合わせて地方百貨店や商店街の衰退は、中心市街地の求心力を失わせる。そんな中、2010年12月開業した新青森駅「あおもり旬味館」は従来の駅ビルとは異なり、19店舗のうちのNEWDAYSとヤマト宅急便を除きすべてのテナントを地元企業で構成する青森らしさ、津軽らしさを徹底追及した。この狙いは施設や街自体の魅力を高めて地域活性化につなげ、結果として鉄道利用者が増えるという相乗効果を狙う、JR東日本地域再発見プロジェクトの一環からであり、良い先行事例となった。とかく地方駅ビルにおいては一過性の観光客志向の施設になりがちであるが、この施設には日常と非日常の重なる楽しさの創造ができ、来店客の50%は地元住民が訪れる。新しい観光の在り方として、地元の人が楽しむ場所に観光客も一緒に楽しみ体験したいといった欲求に叶ったスペースクリエーションを実現した。大間のマグロ、黒石のつゆ焼きそば、太宰治の好物でつくったラーメンなどが並ぶ飲食ゾーン、手焼きせんべいの実演や地元の食材でつくった人気のスイーツ、地元の選び抜かれた名産品が並ぶ食物販ゾーン、そして中央のパブリックゾーンではご婦人による地域で伝え受け継がれる伝説の語り部パフォーマンスなど日常のハレ空間である。地域に触れ、地域を楽しむメニューがギュッと詰まった、まるで玉手箱のような駅施設である。

 これからの地域活性化や再生には、地域の価値の発見や再評価をするプランナー、その魅力をビジネスに結びつけ持続させるプロデューサー、与えられた空間から共感を生む場づくりを最大限に表現するデザイナーが必要である。「スタイル」をイメージしながら、地域活性化につながる新しいライフスタイル提案や地域産業おこしには、現状の閉塞感を打ち破る大きな可能性がある。タテヤマアドバンスの各支店には、その地域ならではの良さを引き出し育てる、新たなるスペースクリエーションづくりの担い手となるよう期待したい。次回からのスペースクリエーション・アイは、各支店からのメッセージにバトンを繋ぐ。


日本橋再生計画のシンボルコレド室町
空間力を駆使したコレド室町共用部
かつお節だし汁イートインが人気のにんべん

江戸の金取引の場を彷彿させる箔座日本橋店
旬味館ファサード
地域食を編集した売り場づくり
語り部のパフォーマンス
太宰治がストーリの飲食店
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