情報発信コラム:スペースクリエーション アイ

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第2回 スペースクリエーション アイ
ポートランドの持続可能なライフスタイル・クリエーション

2011年9月
タテヤマアドバンス  事業本部副本部長  笹谷 誠

 アメリカ西海岸北部に位置するオレゴン州最大の都市ポートランド。今回は7月に参加したポートランドのライフスタイル視察から、人と街と商いがリンケージしたサスティナブルな(持続可能)街での体験を綴る。

 米国北西部に位置するオレゴン州は人口380万人。そのうち、ポートランド都市圏人口は220万人とオレゴン州最大都市であり、ナイキやコロンビアスポーツの本社の他、最近ではIT企業の工場や研究所、再生可能エネルギー関連企業などが進出している。豊かな自然環境に恵まれたこの街が持つサスティナビリティー(持続可能性)とは、環境保全と地域経済発展が両立する社会がつくられ、将来への希望が持てることである。その事象をいくつか紹介すると、中心部には路面電車とMAX(ライトレールという次世代型路面電車)が張り巡らされ、しかもフリーレールゾーンという運賃無料で運行される。ストリートは歩いていて飽きないよう、至る所に美術彫刻と噴水が散りばめられ、中心市街地が歩いて楽しくなるような仕掛けがある。既に電気自動車ステーションもあちこちに整備され、環境に配慮した交通計画そのものがサスティナビリティーである。

 街なかのストリートではたくさんの個性的で魅力的な街路がつくられている。ノースウエスト地区にあるノブヒルは、原宿のような街路樹とセンスの良い専門店が並び、パールディストリクトは元倉庫街が再開発され、マンション、アートギャラリー、トレンディーなレストランが集積する。中心部から離れると、ミシシッピー通りでは小さなブティック・雑貨店・カフェが並び、ホーソン通り、ベルモント通りではヒッピー文化やストリートカルチャーが息づき、レコード店や古着店などの個性的な店が軒を並べてユニークな買い物を楽しめる。どこ1つ見ても同じ街並みがないのが魅力的であり、郊外には大型のショッピングセンターやアウトレットもあるものの、中心部のストリート商業との間では上手くすみ分けられ共存共栄している感があった。これも商業開発のサスティナビリティーである。

 今回の視察ツアー6日間では、環境共生と経済発展が地域循環社会を築いている実態を見聞きし、日本での新しい社会づくりの可能性を肌で感じた。活気のある(経済・人が動いている)街に必要なことは、“安心・安全・快適(アメニティー)”を表現する空間創造性であり、その街ならではのライフスタイルが培われ、活気ある商業空間が育まれることである。快適で安心感があり賑やかな中心部に人は集り、そして住み着いていくといった交流人口と定住人口が両立するのは、持続可能なライフスタイル・クリエーションが浸透しているからと確信した。


New Seasons Market
雨どいからの水で花車を回す
青果のディスプレイが美しい

Fred Meyer
全粒粉のフードパーク
1Fは売場、2Fはレストラン
量り売り
ワゴン
ファーマーズマーケットは土曜日開催
リバーサイドパークでサタデーマーケット
美しい街並み
路面電車の停留所 デザインとロケーションがマッチしている
街中にアートが散りばめられている
街のいたる所に設置してあるゴミ箱と飲水機
リサイクル容器を綺麗に分別回収している
充電ステーション

街路の賑わいは、その街の魅力や活力そのもの。店頭のディスプレイやサインの小道具から建物や公園などの大道具に至るまで、眼に飛び込んでくるストリート・スケープは街のアイデンティティをつくる大切な役割を果たします。ポートランドは街ぐるみで環境共生を楽しみながら、それを暮らしの中に取り入れるライフスタイルが際立つ魅力的な都市です。そこにはこれからの日本が目指す都市づくり、地域再生の大きなヒントがあります。今回私が企画したライフスタイルツアーには、商業デベロッパーから様々な専門店やレストラン、ライブハウス経営者など多彩な参加者となりました。ぜひこれからも多くの方々と訪れたい街です。
(商い創造研究所・松本大地)

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